ドバイ物件売却:インスペクション報告への対応と交渉術 — Dubai real estate
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ドバイ物件売却:インスペクション報告への対応と交渉術

ドバイ不動産売却の最終関門ともいえる、買い手による物件インスペクション。この報告書が、順調に進んでいたはずの取引を土壇場で覆すことも少なくありません。しかし、これは危機ではなく、むしろ売主様の交渉力を示す好機です。 この記事で探求すること: - ドバイにおける物件インスペクションの役割と法的背景 - インスペクション報告で指摘されがちな項目トップ5…

田中 莉子 — portrait
2026年9月2日 · 読了時間22分

ドバイ不動産売却の最終関門ともいえる、買い手による物件インスペクション。この報告書が、順調に進んでいたはずの取引を土壇場で覆すことも少なくありません。しかし、これは危機ではなく、むしろ売主様の交渉力を示す好機です。

この記事で探求すること:

  • ドバイにおける物件インスペクションの役割と法的背景
  • インスペクション報告で指摘されがちな項目トップ5
  • 売主様が取るべき3つの基本戦略:修繕、クレジット提供、拒否
  • 交渉を有利に進めるための具体的な戦術と会話例
  • 将来のトラブルを未然に防ぐためのプロアクティブな対策
  • ケーススタディ:実際の交渉事例とその結果
  • Gaia Livingが提供する売主様向けサポート

なぜインスペクション報告が重要なのか?

ドバイの不動産取引において、物件インスペクション(Property Inspection)は、契約の最終確定に向けた極めて重要なプロセスです。日本では馴染みが薄いかもしれませんが、欧米の取引慣行が根付いているドバイでは、特に中古物件の場合、買い手が専門の検査会社を雇い、物件の状態を徹底的に調査するのが一般的です。この結果をまとめた「物件検査報告書(Inspection Report)」が、その後の交渉の核となります。

法的な観点から見ると、売買の基本合意書であるMOU(Memorandum of Understanding)には、通常「買い手は物件インスペクションの結果に満足することを条件に、本契約を履行する」といった趣旨の条項(Inspection Contingency Clause)が含まれます。これは、もしインスペクションで重大な欠陥が発見され、かつ売主との間で解決策について合意に至らない場合、買い手はペナルティなしで契約を解除し、支払済みのデポジットの返還を請求できる権利を持つことを意味します。つまり、この報告書は、買い手にとって最後の「安全装置」なのです。

私たち売主側から見れば、これは取引が白紙に戻るリスクをはらむ、緊張の瞬間です。しかし、ネガティブに捉える必要はありません。むしろ、これは物件の現状を客観的なデータに基づいて評価し、双方が納得のいく形で取引を完了させるための合理的な手続きです。報告書に記載された指摘事項の一つひとつが、即座に売主の責任や費用負担に繋がるわけではありません。ここからが、私たちプロの腕の見せ所。報告書の内容を冷静に分析し、買い手の要求の妥当性を見極め、売主様にとって最善の着地点を探る「交渉」が始まるのです。この段階を巧みに乗り切ることが、最終的な売却価格と取引の円滑さを大きく左右します。

Palm Jumeirahのヴィラであれ、Business Bayのペントハウスであれ、このプロセスは避けて通れません。そして、その対応次第で、数十万AEDの差が生まれることも珍しくないのです。Gaia Livingの売主戦略家として、私はこの重要な局面でこそ、お客様の利益を最大化する価値を提供できると確信しています。

長年、数多くの売却案件に携わってきた経験から、ドバイの物件インスペクションで指摘される項目には一定の傾向があることがわかっています。特に中古物件の場合、経年劣化は避けられません。しかし、事前に「どこが」「どのように」指摘されやすいかを知っておくことで、心の準備と対策が可能になります。ここでは、私が現場で最も頻繁に目にする指摘事項トップ5を、具体的な事例と共に解説します。

1. エアコン(AC)システムの不具合: ドバイの生命線ともいえるACは、インスペクションで最も厳しくチェックされる項目です。冷却能力の低下、異音、室外機からの水漏れ、ダクト内のカビや汚れなどが典型的な指摘事項です。特に、10年以上経過したヴィラなどでは、システム全体の交換を推奨されるケースもあります。例えば、Arabian Ranchesの初期の物件では、ACの効率低下が指摘され、買い手からユニット交換費用として30,000 AEDの値引きを要求された事例がありました。この場合、私たちはすぐに自社の取引業者に見積もりを依頼し、実際の修理費用は8,000 AEDであることを突き止め、交渉の末、5,000 AEDのクレジット提供で合意しました。

2. 水漏れと湿気の兆候: 天井のシミ、壁の塗装の浮き、バスルームの床下の湿気などは、水漏れのサインとして厳しく指摘されます。原因は配管の老朽化、防水層の劣化、ACのドレン詰まりなど様々です。表面的な修繕だけでは不十分で、原因究明と根本的な対策が求められます。特にDubai Marinaの高層アパートメントでは、上階からの漏水が原因であることも多く、その場合は管理組合(Owners Association)との連携も必要になり、問題が複雑化することがあります。

3. 電気系統の問題: 安全に直結するため、非常に重要視されます。ブレーカー(DBボード)の不具合、規格外の配線、アース接続の欠落、一部コンセントの不通などが指摘されます。古い物件では、現在のDEWA(ドバイ電力水道局)の安全基準を満たしていないこともあり、その場合はシステム全体のアップグレードが必要になる可能性も。これは高額な費用に繋がるため、買い手は非常に神経質になります。

4. 給湯器(ウォーターヒーター)の不具合: 「お湯が出ない」「温度が安定しない」といった明らかな不具合はもちろん、タンク周辺の錆や水漏れの痕跡、安全弁の不作動なども指摘対象です。ドバイの水の硬度が高いため、ヒーター内部にスケールが溜まりやすく、寿命が比較的短い傾向にあります。交換費用は比較的手頃(1,000~3,000 AED程度)なため、交渉の材料にされやすい項目の一つです。

5. 窓やドアのシーリング材(コーキング)の劣化: ドバイの強い日差しと砂埃により、窓枠やバルコニードアの周囲のゴムやシリコン製のシーリング材は劣化しやすいです。これが劣化すると、気密性が損なわれ、冷房効率の低下や砂埃の侵入に繋がります。見た目にも古びた印象を与えるため、買い手は修繕を要求してくることが多いです。費用自体はそれほど高額ではありませんが、物件全体の窓を対象とすると、それなりの金額になるため、注意が必要です。

これらの指摘は、あくまで「可能性」です。しかし、ご自身の物件がどの程度のリスクを抱えているかを事前に把握しておくことは、極めて重要です。

報告書受領後の3つの基本戦略

買い手からインスペクション報告書がエージェント経由で届きました。数十ページに及ぶ写真付きの詳細なレポートには、大小様々な「欠陥」や「推奨事項」がリストアップされています。ここでパニックに陥ったり、感情的になったりするのは禁物です。売主様が取るべき行動は、冷静な分析に基づいた戦略的な判断です。基本となる戦略は、大きく分けて「修繕する」「金銭で解決する(クレジット提供)」「要求を拒否する」の3つです。

戦略1:指摘事項を修繕する(Repair) これは最も直接的な解決策です。特に、ACの不動や水漏れといった、物件の基本的な機能に関わる「主要な欠陥(Major Defects)」については、売主の責任において修繕するケースが一般的です。利点は、買い手に安心感を与え、取引をスムーズに進められることです。注意すべきは、修繕の範囲と質です。買い手が指定する業者ではなく、必ずご自身で信頼できる業者から複数の見積もりを取り、適正価格で、かつMOUで定められた期日までに修繕を完了させる必要があります。完了後は、業者からの報告書や保証書を買い手側に提示し、修繕が確実に行われたことを証明します。

戦略2:修繕費用相当額をクレジットとして提供する(Credit) これは、物理的な修繕を売主が行う代わりに、その費用相当額を最終的な売却価格から差し引く、あるいは決済時に買い手に支払うという方法です。例えば、「ACの修理に10,000 AEDかかると見積もられたので、その分を値引きします」という形です。この戦略の最大の利点は、売主様の手間が省けることです。業者を手配し、修繕の進捗を管理する必要がありません。また、買い手側も、自分の好きな業者を使い、自分の好みの仕様で修繕できるというメリットがあります。特に、将来的なアップグレードを兼ねて修繕したいと考えている買い手には喜ばれます。ただし、クレジットの金額を巡って交渉が難航する可能性もあります。買い手は高めの見積もりを提示し、売主は安めの見積もりを根拠にするため、その差を埋める交渉力が必要となります。

戦略3:要求を拒否する(Decline) すべての要求に応じる必要は全くありません。報告書には、「経年による通常の損耗(Normal Wear and Tear)」や、機能上問題のない外観上の些細な傷、さらには「推奨されるアップグレード」といった項目も含まれています。これらは、売主が対応すべき「欠陥」ではありません。例えば、「壁紙の色が古い」とか「キッチンキャビネットのデザインが時代遅れ」といった主観的な指摘は、きっぱりと拒否すべきです。また、過度に高額な修繕要求や、根拠の薄い値引き要求に対しても、毅然とした態度で臨むことが重要です。ただし、この戦略を取る場合は、MOUの契約解除条項を再確認し、交渉が決裂した場合のリスクを十分に理解しておく必要があります。

重要なのは、これらの戦略を単独で使うのではなく、指摘事項の性質、費用、そして買い手の動機を見極めながら、柔軟に組み合わせることです。交渉とは、ゼロか百かではなく、双方の妥協点を見出す技術なのです。

実際には、これらの戦略を組み合わせたハイブリッドなアプローチが最も効果的です。例えば、「主要な欠陥である水漏れは、こちらで責任をもって修繕します。しかし、窓のシーリング材の劣化は経年相応のものであり、修繕費用として5,000 AEDのクレジット提供を最終オファーとします。それ以外の外観上の指摘については対応致しかねます」といった具合です。この判断を的確に行うためには、客観的なデータと、マーケットの状況を熟知した専門家の助言が不可欠となります。

交渉を有利に進めるための具体的戦術

基本戦略を理解した上で、次はいかにして交渉の場で主導権を握り、売主様の利益を守るかという具体的な戦術についてお話しします。インスペクション報告書を突きつけられた側、という心理的な劣勢を覆すには、準備と知識、そして交渉の「型」を知っておくことが不可欠です。私が常に実践している、効果実証済みの戦術をいくつかご紹介しましょう。

まず、何よりも重要なのが「時間的優位の確保」です。MOUには通常、インスペクション報告の受領後、売主が回答するまでの期限(例:3営業日以内)が定められています。この短い時間で感情的に判断してはいけません。買い手からの要求リストを受け取ったら、まず「内容を精査し、専門家と相談するため、XX日まで時間をいただきたい」と、エージェントを通じて正式に時間延長を要請します。これにより、冷静に状況を分析し、対抗策を練るための貴重な時間を稼ぐことができます。焦りは判断を誤らせる最大の敵です。

次に、「客観的データの収集と提示」です。買い手が提示する修繕見積もりは、往々にして高めに設定されています。それを鵜呑みにしてはいけません。必ず、ご自身で信頼できる業者、できれば2〜3社から相見積もり(カウンター・クオート)を取得します。この一手間を惜しまないでください。例えば、買い手がAC修理に15,000 AEDの見積もりを提示してきたのに対し、こちらで取得した見積もりが平均8,000 AEDだったとします。この8,000 AEDという客観的な数字が、交渉における強力な武器になります。「貴社の見積もりは市場価格から乖離しているようです。こちらで調査した適正価格は8,000 AEDです。この金額をベースにお話ししましょう」と、交渉の土俵をこちらが設定した価格水準に引き寄せることができるのです。

交渉の際の費用分担の内訳例:

  • 指摘事項: マスターベッドルームのACが冷えない
  • 買い手側提示の修理見積もり: 12,000 AED (ユニット交換)
  • 売主側で取得した相見積もりA: 7,500 AED (コンプレッサー修理)
  • 売主側で取得した相見積もりB: 8,000 AED (コンプレッサー修理)
  • 売主の交渉ポジション: 修理で機能は回復するため、交換は過剰要求。適正修理費用は8,000 AEDと判断。
  • 交渉オファー: 修理費用として4,000 AEDのクレジットを提供(50%負担)。残りは買い手が将来のアップグレード費用として負担すべき。

さらに、「問題の切り分けと優先順位付け」も効果的です。買い手の要求リストを、「対応必須の主要欠陥」「交渉の余地がある中程度の欠陥」「対応不要の軽微な欠陥/要望」の3つに分類します。そして交渉の冒頭で、「まず、水漏れという主要な問題については、私どもの責任で完全に修繕することをお約束します」と、最も重要な項目で譲歩する姿勢を見せます。これにより、買い手は「この売主は話がわかる」と感じ、心理的な壁が下がります。その上で、「次に、それ以外の軽微な項目については、これは経年によるものであり…」と、こちらの主張を展開していくのです。最初に大きな安心感を与えることで、その後の細かな点での交渉が格段に進めやすくなります。

最後に、「代替案の提示(BATNA: Best Alternative to a Negotiated Agreement)」を常に用意しておくことです。交渉が決裂した場合の次善の策です。例えば、現在の買い手を失った場合、すぐに次の買い手候補はいるのか? 物件を再度市場に出す場合、どのくらいの期間とコストがかかるのか? 今のオファー価格は市場価格と比べてどのくらい魅力的なのか? これらを冷静に評価しておくことで、目の前の交渉でどこまで譲歩できるか、どこが最終防衛ラインなのかが明確になります。もし市場が好調で、あなたの物件に他に複数の興味者がいる状況であれば、強気の交渉が可能です。逆に、市場が停滞気味であれば、多少の譲歩をしてでも現在の買い手と契約をまとめる方が賢明かもしれません。この大局観を持つことが、最終的な成功の鍵を握ります。

ケーススタディ:実際の交渉事例

理論だけではイメージが掴みにくいかもしれませんので、私が最近手がけた実際の交渉事例を、個人情報に配慮した形でご紹介します。これは、JVC (Jumeirah Village Circle)にある築5年の2ベッドルームアパートメントの売却案件でした。

  • 物件概要: JVC、2LDK、約1,500 sqft、売却希望価格 1.5M AED
  • 経緯: 市場に出して3週間で、1.48M AEDという希望に近いオファーがあり、MOUを締結。買い手は若いヨーロッパ人のカップルで、初めてのドバイでの物件購入でした。
  • インスペクション報告: 締結から5日後、全35ページに及ぶ報告書が提出されました。指摘事項は大小合わせて22項目。買い手側エージェントからは、修繕費用と「精神的苦痛」を理由に、100,000 AEDの大幅な値引き要求がありました。

報告書の主な指摘事項と買い手の要求: 1. リビングのACの冷却能力が若干低い(設定温度まで下がるのに時間がかかる)。→ ユニット全体の交換費用として20,000 AEDを要求。 2. セカンドバスルームのシャワーの水圧が弱い。→ 配管全体のチェックとブースターポンプ設置費用として15,000 AEDを要求。 3. バルコニーのタイルに数カ所、細いひび割れ(ヘアラインクラック)がある。→ バルコニー全体のタイル張り替え費用として30,000 AEDを要求。 4. その他、壁の小さな傷、ドアハンドルの緩みなど、軽微な指摘が19項目。→ これら全ての修繕費用として35,000 AEDを要求。

私の対応と交渉プロセス:

1. 冷静な初期対応と時間確保: まず、売主様には「これは典型的な交渉の開始合図です。慌てる必要はありません」とお伝えし、安心いていただきました。そして、買い手側エージェントに「詳細な報告書なので、内容を精査し、専門家の意見を聞くために5日間の猶予をください」と連絡し、時間を確保しました。

2. ファクト(事実)の収集: すぐに提携しているメンテナンス会社2社に連絡し、現地調査を依頼しました。 * AC: 調査の結果、ユニット交換は不要で、ガスの補充とフィルター清掃で性能は回復することが判明。費用は800 AED。 * 水圧: DEWAからの供給水圧自体がそのエリアの標準であり、建物内の問題ではないことが判明。ブースターポンプ設置は「改善」であり「修理」ではないと判断。 * タイル: ヘアラインクラックは構造上の問題ではなく、経年による表面的なもの。機能上の問題は一切なし。

3. 交渉戦略の構築と対案提示: これらの事実を基に、売主様と協議し、以下の対案を買い手側に提示しました。 * ACは、こちらで責任をもってガス補充と清掃を行い、性能が回復したことを証明するレポートを提出する。 * 水圧の問題は建物の仕様であり欠陥ではないため、対応は不可。 * タイルのひび割れは外観上の問題であり、機能・安全に影響はないため、対応は不可。 * 軽微な19項目の指摘については、取引を円滑に進めるためのジェスチャーとして、一括で5,000 AEDのクレジット(値引き)を提供する。

4. 交渉の着地: 買い手側は当初、私たちの提案に難色を示しました。特にACの交換とタイルの張り替えを再度要求してきました。しかし、こちらが提示した専門業者のレポート(「修理で十分」「構造上の問題なし」)という客観的証拠を前に、彼らの要求が過剰であることが明らかになりました。最終的に、ACはこちらで修理し、それ以外のすべての項目に対して合計10,000 AEDのクレジットを提供するという条件で合意に至りました。当初の100,000 AEDという要求に対し、90,000 AEDのディスカウントを防いだことになります。売主様は結果に大変満足され、取引は無事、1週間遅れで完了しました。

この事例から学べるのは、感情的な要求には客観的な事実で対抗すること、そして専門家の知見を最大限に活用することの重要性です。

トラブルを未然に防ぐ「売主側インスペクション」

これまで、買い手からのインスペクション報告にいかに対応するか、という「受け身」の戦略についてお話してきました。しかし、最も賢明な売主様は、さらに一歩進んだ「攻め」の戦略、すなわちプロアクティブな対策を講じます。それが「売主側インスペクション(Pre-listing Inspection)」です。

これは、物件を市場に出す前に、売主様ご自身の費用で専門のインスペクション会社に物件の調査を依頼することです。「なぜ、わざわざ自分でお金と時間をかけて欠点を探す必要があるのか?」と疑問に思われるかもしれません。しかし、これには計り知れないメリットがあるのです。

売主側インスペクションの主なメリット:

  • 交渉の主導権を握れる: 買い手から指摘されて初めて問題を知るのではなく、事前にすべての問題を把握できます。これにより、買い手からの「サプライズ」な要求がなくなり、常に交渉の主導権を握ることができます。「その件でしたら、すでに認識しており、このように対応する予定です」と先手を打てるのです。
  • 修繕コストの管理: 時間的なプレッシャーがない状態で、最もコスト効率の良い方法で修繕を行うことができます。複数の業者からじっくり相見積もりを取り、最適な業者を選ぶことが可能です。買い手からの要求に応える形で慌てて修理するよりも、20-30%コストを抑えられるケースも珍しくありません。
  • 売却価格の正当性を高める: 事前に発見された問題をすべて修繕し、そのレポートを添えて物件を売り出すことができます。「この物件は、第三者機関によるインスペクション済みで、主要な問題はすべてクリアされています」とアピールできるのです。これは、物件の信頼性を著しく高め、買い手は安心してオファーを出すことができます。結果として、より高い価格で、より迅速な売却に繋がります。
  • 取引の透明性と信頼性: すべての情報を開示する姿勢は、買い手に誠実な印象を与えます。小さな欠陥を正直に開示することで(例:「インスペクションの結果、キッチンの蛇口から微量の水漏れが見つかりましたが、パッキン交換で修繕済みです」)、逆に大きな信頼を得ることができます。信頼関係は、スムーズな取引の土台となります。

ドバイでのインスペクション費用は、物件のサイズにもよりますが、アパートメントで1,500 AED〜、ヴィラで2,500 AED〜が目安です。一見、余計な出費に思えるかもしれません。しかし、この初期投資によって、前述のケーススタディのように100,000 AEDの値引き要求を10,000 AEDに抑えられる可能性を考えれば、どちらが賢明な判断かは明らかでしょう。特に、築10年以上の物件や、ご自身が長年住んでおらず物件の状態を完全に把握できていない投資物件を売却される場合には、強くお勧めします。

Gaia Livingでは、信頼できる複数のインスペクション会社と提携しており、お客様の物件に最適な会社をご紹介することが可能です。売却戦略の第一歩として、ぜひこの「売主側インスペクション」をご検討ください。

Key takeaway

物件インスペクションは、売却プロセスの避けて通れない一部です。これを脅威と捉えず、客観的な事実に基づき、専門家と共に戦略的に対応することで、むしろ売主様の利益を守り、取引の質を高める機会とすることができます。

Gaia Livingが提供する売主様サポート

ドバイでの不動産売却は、単に買い手を見つけることだけではありません。物件の魅力を最大限に引き出すマーケティング戦略から始まり、複雑な法的手続き、そして本稿で詳述したようなインスペクション後のタフな交渉まで、専門的な知識と経験が求められる局面が数多く存在します。

私たちGaia Livingは、単なる仲介業者ではありません。売主様の利益を最大化することにコミットする「売主戦略家」の集団です。インスペクション報告への対応において、私たちがご提供する具体的なサポートは以下の通りです。

  • 報告書の詳細な分析と翻訳: 専門用語で書かれた数十ページに及ぶ英語の報告書を、お客様に分かりやすく日本語でご説明します。単に翻訳するだけでなく、指摘事項の重要度、交渉における影響度をランク付けし、対応の優先順位を明確にします。
  • カウンター・クオートの迅速な手配: 私たちが長年かけて築き上げた、信頼と実績のあるメンテナンス会社や専門業者のネットワークを駆使し、迅速に相見積もりを取得します。これにより、買い手側の不当な見積もりに対抗するための客観的なデータを揃えます。
  • 交渉戦略の立案と実行代行: お客様のご意向を最大限に尊重しながら、物件の状況、市場の動向、買い手の属性などを総合的に分析し、最適な交渉戦略を立案します。そして、お客様に代わって、私、田中が矢面に立ち、相手方エージェントとの交渉をすべて行います。感情的になりがちな交渉のストレスから、お客様を解放します。
  • 修繕・法的手続きのコーディネート: 修繕が必要な場合は、業者の手配から作業の進捗管理、完了報告まで一貫してサポートします。また、交渉結果を反映したMOUの修正や、最終的な譲渡手続きに必要な書類作成など、リーガルチームと連携し、取引が完了するまで責任をもってサポートいたします。

物件の売却は、お客様にとって大きな決断です。そのプロセスが、不安やストレスに満ちたものであってはなりません。インスペクション報告というハードルも、適切な知識と戦略があれば、乗り越えることは決して難しくありません。ドバイでの不動産売却をご検討の際は、ぜひ一度、Gaia Livingの田中までご相談ください。お客様の資産価値を最大化するため、私の知識と経験のすべてを注ぎ込むことをお約束します。

Sources

  • Dubai Land Department (DLD). (dld.gov.ae). For information on real estate contracts and regulations.
  • Real Estate Regulatory Agency (RERA). (rera.gov.ae). For rules governing broker and client conduct.
  • UAE Government Portal. (u.ae). For general legal frameworks in the United Arab Emirates.
Frequently asked

Questions, answered

ドバイの物件インスペクションで指摘されやすい欠陥は何ですか?
最も多いのは、エアコン(AC)の冷却不良や水漏れ、給湯器の不具合、水回りのシーラント劣化などです。これらはドバイの気候特性上、頻繁に使用されるため経年劣化しやすく、買い手も特に注意深くチェックする項目です。
インスペクションで指摘された欠陥は、すべて売主が修繕する義務がありますか?
法的な義務はありません。MOUに記載された条件によりますが、通常は交渉次第です。「主要な欠陥」は売主が対応し、「軽微な欠陥」は買い手負担とするのが一般的ですが、何が「主要」かはケースバイケースで判断されます。
修繕費用の見積もりが買い手側から提示されましたが、高すぎる気がします。どうすればいいですか?
買い手提示の見積もりを鵜呑みにせず、必ずご自身で複数の信頼できる業者から相見積もりを取得してください。適正な市場価格を把握することで、不当に高い要求を退け、公平な費用負担での交渉が可能になります。
買い手がインスペクション後に大幅な値引きを要求してきました。応じるべきでしょうか?
冷静な対応が不可欠です。まずはインスペクション報告書と修繕見積もりを精査し、値引き要求額が妥当か判断します。不当な要求であれば、毅然と拒否し、修繕対応や少額のクレジット提供といった代替案を提示する交渉が有効です。
インスペクションに関するトラブルを避けるために、売主として事前にできることはありますか?
販売活動を開始する前に、ご自身で専門家による「売主側インスペクション」を実施することをお勧めします。事前に問題を把握・修繕しておくことで、買い手からの指摘を最小限に抑え、交渉を有利に進めることができます。
交渉が決裂した場合、どうなりますか?
MOUの条件によりますが、インスペクション条項が買い手に有利な内容の場合、買い手はペナルティなしで契約を解除し、デポジットの返還を要求できます。売主としては、再度物件を市場に出し、新たな買い手を探すことになります。
田中 莉子 — portrait
著者
売主の戦略家

佐藤麗奈は、売却を検討しているオーナー様のために執筆しています。ホームステージング、掲載時期、エージェント選び、そして低額提示への対応方法まで、彼女は常に売主様の味方です。

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