ドバイ不動産売却のエスクロー口座:売主のための資金保全ガイド — Dubai real estate
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ドバイ不動産売却のエスクロー口座:売主のための資金保全ガイド

ドバイでの不動産売却において、売主様の資金を確実に保全するエスクロー制度。その仕組みと、売却代金を安全に受け取るための必須知識を、売主様の戦略家が徹底解説します。

田中 莉子 — portrait
2026年8月31日 · 読了時間15分

Gaia Livingで売主様の戦略家を務める田中莉子です。ドバイで大切な資産を売却される際、売主様が最も懸念されるのは「売却代金を本当に安全に、全額受け取れるのか」という点に尽きるでしょう。高額な資金が動く不動産取引において、この不安は当然のものです。ドバイの不動産市場が世界中の投資家から信頼を得ている理由の一つに、この資金保全の仕組みが強固に確立されている点が挙げられます。その中核をなすのが「**ドバイ不動産売却 エスクロー**」制度です。

この記事では、売主様の視点から、ドバイの不動産取引におけるエスクロー口座の役割と、それがどのように皆様の大切な資金を守るのかを徹底的に解説します。単なる制度の説明に留まらず、売却プロセスの中で売主様が注意すべき具体的なポイントや戦略についても、私の経験を交えながらお伝えします。

本稿で掘り下げる内容はこちらです。

  • エスクロー制度の基本:なぜ売主にとって不可欠なのか
  • RERAとDLDの役割:公的機関による取引の監督
  • 売却プロセスのステップ別解説:エスクローが機能するタイミング
  • 資金の流れの完全ガイド:入金から着金までの道のり
  • 売主が負担する費用と注意点
  • よくあるトラブルとその回避策
  • Gaia Livingが提供する売主様へのサポート

エスクロー制度の基本:なぜ売主にとって不可欠なのか

まず、エスクローとは何かを明確にしましょう。エスクロー(Escrow)とは、不動産取引のような高額な契約において、信頼できる第三者が買主から預かった代金を一時的に保管し、契約条件がすべて満たされた時点で売主にその代金を支払う仕組みです。この「信頼できる第三者」は、ドバイでは通常、RERA(不動産規制庁)に認可された不動産登記信託人(Real Estate Registration Trustee)または法律事務所(Conveyancer)が務めます。この第三者が管理する専用口座がエスクロー口座です。

売主様にとって、この制度がなぜ不可欠なのでしょうか。理由はシンプルです。それは「代金回収のリスク」を完全にゼロにできるからです。もしエスクローがなければ、買主が代金を支払うタイミングと、売主が所有権を移転するタイミングの間には、常に危険な「隙間」が生じます。例えば、先に所有権を移転してしまったのに買主が支払いを渋る、あるいは支払いを完了しないといった事態です。逆に、買主側も代金を支払ったのに所有権が移転されないリスクを負うことになります。これでは安心して不動産取引 ドバイ市場に参加することはできません。

エスクロー制度は、この「隙間」を埋めるための橋渡し役です。買主は、売買契約(Form F)の締結後、手付金や最終的な残金を、売主の個人口座ではなく、中立なエスクロー口座に送金します。この資金は、ドバイ土地局(DLD)で正式に所有権移転が完了するまで、誰にも引き出すことができない状態でロックされます。そして、所有権移転が確認された瞬間に、エスクローを管理する第三者が、事前に合意された内容(仲介手数料の支払いやその他経費の清算)に基づき、売主様の指定口座へ速やかに送金します。この一連の流れにより、資金保全 売主様の権利が法的に保護されるのです。

エスクローは単なる送金手続きではありません。これは、売主様が取引の最終局面で最も無防備になる瞬間を、法的に保護するための「鎧」なのです。

特に国際的な取引が主流のドバイでは、買主と売主が直接顔を合わせることなく取引が進むケースも少なくありません。このような状況下で、相手の支払い能力や誠実さを完全に見極めることは困難です。RERA エスクロー制度は、こうした不確実性を取り除き、取引の透明性と安全性を担保するための根幹的なインフラと言えます。私たちプロフェッショナルが、個人間の直接取引(エスクローを介さない取引)を決してお勧めしないのは、この計り知れないリスクを理解しているからです。安心と確実性を得るために、この制度の活用は絶対条件だとお考えください。

ドバイの不動産取引の安全性を支えているのは、エスクロー制度だけではありません。その背後には、RERA(Real Estate Regulatory Agency、不動産規制庁)とDLD(Dubai Land Department、ドバイ土地局)という二つの強力な公的機関が存在します。この二つの組織がどのように連携し、売主様の取引を監督しているのかを理解することは、ドバイ不動産市場への信頼を深める上で非常に重要です。

RERAは、ドバイの不動産市場におけるルールメーカーであり、監視者です。不動産仲介業者、デベロッパー、そしてエスクローサービスを提供する登記信託人など、市場に参加するすべての専門家はRERAからライセンスを取得し、その厳格な規則に従う義務があります。RERAが定めた規約の中に、中古物件取引における標準売買契約書「Form F」の使用義務や、エスクロー勘定の運用に関するガイドラインが含まれています。これにより、取引のプロセスが標準化され、売主様と買主様双方の権利が明確に定義されます。万が一、仲介業者や登記信託人に不正や怠慢があった場合、RERAに申し立てを行うことで、ライセンス剥奪を含む厳しい処分が下されます。この強力な監督体制が、市場全体の健全性を維持しているのです。

一方、DLDは、ドバイにおけるすべての不動産の所有権を記録・管理する唯一の政府機関です。いわば、不動産の「戸籍係」のような存在です。不動産の売買が成立すると、最終的にこのDLDの登記所(Trustee Office)で所有権の移転手続きが行われます。この手続きが完了して初めて、法的に所有者が変わったことになります。DLDは、この移転手続きの際に、売買契約書(Form F)、売主・買主双方の身分証明書、そして最も重要なNOC(No Objection Certificate、異議なし証明書)など、すべての必要書類が揃っているかを厳密にチェックします。不備があれば、手続きは一切進められません。

エスクロー制度は、このRERAの規則とDLDの登記プロセスとが緊密に連携することで機能します。具体的には、以下の流れになります。

1. RERAの監督下で活動する仲介業者が、売主・買主間でRERA指定の契約書「Form F」を締結させる。 2. 契約に基づき、買主はRERA認可の登記信託人(Trustee)が管理するエスクロー口座に資金を送金する。 3. 売主は、物件のデベロッパー(例:Emaar PropertiesNakheel)から、管理費の未払いなどがないことを証明するNOCを取得する。 4. すべての書類が揃ったら、売主・買主(または代理人)はDLD指定の登記所に出向き、所有権移転手続きを行う。 5. DLDが新しい所有権証書(Title Deed)を発行したことを登記信託人が確認する。 6. 登記信託人は、エスクロー口座から売主へ売却代金受け取り 安全に資金を送金する。

このように、RERAが定めたルールに従い、DLDの最終承認を得るまで資金がロックされる仕組みは、まさに公的なお墨付きを得た資金保全システムです。売主様は、ドバイ政府そのものが取引の正当性と安全性を保証してくれている、と理解していただいて差し支えありません。これは、他の多くの国の不動産市場には見られない、ドバイの大きな強みの一つです。

売却プロセスのステップ別解説:エスクローが機能するタイミング

では、実際の売却プロセスの中で、エスクロー口座は具体的にいつ、どのように機能するのでしょうか。ドバイでの不動産売却は、非常によく整備されたステップに沿って進みます。売主様が全体の流れを把握し、どの段階で資金が動くのかを理解しておくことは、安心して取引を進めるために不可欠です。ここでは、一般的な中古物件の売却プロセスを例に、エスクローが関わるタイミングを詳しく見ていきましょう。

ステップ1:売買覚書(MOU / Form F)の締結と手付金の支払い 売主様と買主様の間で価格や条件が合意に達すると、まず売買覚書(Memorandum of Understanding、通称MOU)を締結します。現在、ドバイではRERAが標準化した契約書「Form F」がこのMOUとして機能します。この契約書には、物件情報、売買価格、支払いスケジュール、所有権移転日、そして万が一の場合の違約金に関する条項などが明記されます。

このForm Fの締結と同時に、買主は通常、売買価格の10%に相当する額を手付金(Security Deposit)として支払います。ここが最初の重要なポイントです。 この手付金は、売主様の個人口座に直接振り込まれるのではなく、仲介業者が預かる小切手として、あるいは登記信託人が管理するエスクロー口座に入金されます。小切手の場合も、所有権移転が完了するまで現金化されることはありません。これにより、もし買主が一方的に契約を破棄した場合、売主様はこの手付金を違約金として受け取る権利が保全されます。

ステップ2:NOC(異議なし証明書)の申請・取得 次に、売主様は物件が所在するコミュニティのマスターデベロッパー(例えば、Dubai MarinaであればEmaar、Palm JumeirahであればNakheel)からNOC(No Objection Certificate)を取得する必要があります。これは、売主様にサービスチャージ(共益費)の未払いやその他の債務がなく、デベロッパーとしてこの物件の売却に異議がないことを証明する非常に重要な書類です。NOCの申請には通常、AED 500~AED 5,000程度の費用がかかり、これは売主様負担となります。NOCがなければ、DLDでの所有権移転は絶対にできません。

ステップ3:買主による残金の支払い(エスクロー口座へ) NOCが発行される見込みが立った段階、または発行された後、所有権移転予定日の数日前に、買主は手付金を除いた売買代金の残額全額を、指定された登記信託人のエスクロー口座に送金します。買主が住宅ローンを利用する場合は、このタイミングで銀行が融資額をエスクロー口座に振り込みます。この時点で、売買に必要なすべての資金が、中立な第三者の管理下に置かれることになります。売主様は、DLDへ向かう前に「全額がエスクロー口座に着金した」という事実を確認できるため、安心して最終手続きに臨むことができます。

ステップ4:DLDでの所有権移転手続き いよいよ最終ステップです。売主様と買主様(またはそれぞれの代理人、登記信託人)が、DLDの登記所(Trustee Office)に集まります。ここで、Form F、双方のパスポートコピーやID、そして取得したNOCなど、すべての書類が提出され、職員によって最終確認が行われます。同時に、買主はDLDへの登記費用(売買価格の4%)と登記信託人への手数料などを支払います。すべての手続きに不備がないと判断されると、DLDはその場で新しい所有者名義のタイトルディード(Title Deed)を発行します。この瞬間、法的に物件の所有権は買主に移転します。

ステップ5:エスクロー口座からの資金解放と着金 新しいタイトルディードが発行されたことを登記信託人が確認すると、直ちにエスクロー口座からの送金手続きを開始します。エスクロー口座に保管されていた売買代金全額から、事前に合意された項目、主に以下のものが差し引かれます。

  • 不動産仲介手数料(通常、売買価格の2% + 5% VAT)
  • (もしあれば)売主側の未払いサービスチャージの清算金
  • (もしあれば)住宅ローンの残債

これらの精算が完了した後、最終的な売却手取額が、売主様が事前に指定した銀行口座へ送金されます。通常、所有権移転完了から24〜48時間以内には、売主様の口座で着金が確認できます。これで、ドバイ不動産売却 エスクローを活用した安全な取引が完了です。

資金の流れの完全ガイド:入金から着金までの道のり

売主様にとって、お金の流れは最も重要な関心事です。ここでは、AED 3,000,000の物件を売却するケースを例に、資金がどのように動き、最終的にいくらが手元に残るのかを具体的にシミュレーションしてみましょう。これにより、売却代金受け取り 安全のプロセスをより現実的にイメージできるはずです。

【前提条件】 - 売買価格:AED 3,000,000 - 買主:現金購入 - 不動産仲介手数料:売買価格の2% + 5% VAT - 売主の住宅ローン残債:なし - NOC発行費用:AED 1,500 - 登記信託人(Conveyancer)費用:買主負担(ここではAED 8,000と仮定)

フェーズ1:契約時(MOU/Form F 締結) - 買主の動き:売買価格の10%にあたる AED 300,000 を手付金として、登記信託人が管理するエスクロー口座に入金します。 - エスクロー口座残高AED 300,000 - 売主の動き:この時点では資金の受け取りはありません。しかし、エスクロー口座に資金が確保されたことで、契約の保証を得ます。

フェーズ2:所有権移転前 - 買主の動き:残金 AED 2,700,000 (3,000,000 - 300,000) をエスクロー口座に送金します。 - エスクロー口座残高AED 3,000,000 (300,000 + 2,700,000) - 売主の動き:NOCの取得手続きを進めます。NOC発行費用 AED 1,500 をデベロッパーに支払います。この費用は売主の自己資金から直接支払うのが一般的です。

フェーズ3:所有権移転日(DLDにて) - 買主の動き:DLD移転登記費用(売買価格の4%)AED 120,000 と、その他の登記関連費用(約AED 4,200)、登記信託人費用 AED 8,000 をDLD窓口または登記信託人を通じて支払います。これらはエスクロー口座の資金とは別です。 - DLDでの手続き:所有権移転が実行され、新しいタイトルディードが発行されます。

フェーズ4:資金の精算と送金(所有権移転直後) - 登記信託人の動き:新しいタイトルディードの発行を確認後、エスクロー口座に保管されている AED 3,000,000 から、以下の費用を差し引きます。 - 不動産仲介手数料:AED 3,000,000 × 2% = AED 60,000 - 仲介手数料へのVAT:AED 60,000 × 5% = AED 3,000 - 合計控除額:AED 63,000 - 売主への送金額の計算: - エスクロー口座残高:AED 3,000,000 - 控除額:- AED 63,000 - 売主への最終送金額AED 2,937,000 - 登記信託人の動き:計算された AED 2,937,000 を、売主が指定した銀行口座へ送金します。

売主様の手取り額の最終計算 最終的に、この取引における売主様の実質的な手取り額は以下のようになります。 - 売却代金からの受取額:AED 2,937,000 - 事前に支払ったNOC費用:- AED 1,500 - 最終的な手取り総額AED 2,935,500

このように、すべての資金の流れは登記信託人のエスクロー口座を経由し、透明性が高く、計算も明確です。住宅ローンが残っている場合は、フェーズ4で登記信託人が銀行に必要な残債額を直接支払い、その残りが売主様に送金される流れとなります。このシミュレーションを通じて、エスクローがいかにシステマティックに機能し、売主様の資金を安全に最終目的地まで届けるかをご理解いただけたかと存じます。

売主が負担する費用と注意点

エスクロー制度を利用した安全な取引には、売主様側でご負担いただく必要のある費用がいくつか存在します。これらのコストを事前に把握し、売却計画に織り込んでおくことは、売主としての戦略を立てる上で非常に重要です。想定外の出費で手取り額が減ってしまった、という事態を避けるためにも、以下の項目をしっかりと確認しておきましょう。

売主が通常負担する費用リスト:

  • 不動産仲介手数料 (Agency Fee)
  • これが最も大きな費用項目です。ドバイにおける標準的な仲介手数料は、売買価格の2%です。この手数料に対して、さらに5%の付加価値税(VAT)がかかります。例えば、AED 5,000,000で物件を売却した場合、手数料は AED 100,000、VATが AED 5,000で、合計 AED 105,000 が売却代金から差し引かれます。この手数料は、物件のマーケティング、内覧のアレンジ、価格交渉、契約手続きのサポートなど、仲介業者が提供するサービス全体への対価です。
  • NOC発行手数料 (No Objection Certificate Fee)
  • 前述の通り、所有権を移転するためには、物件のマスターデベロッPERからNOC(異議なし証明書)を取得する必要があります。この発行手数料はデベロッパーによって異なり、一般的に AED 500 から AED 5,000 の範囲です。EmaarやNakheelのような大手デベロッパーの物件では、AED 1,000~1,500程度が目安となります。この費用は売主がDLDでの移転手続きの前に直接デベロッパーに支払います。
  • 住宅ローン繰り上げ返済手数料 (Mortgage Prepayment Penalty)
  • もし売却する物件に住宅ローンが残っている場合、売却代金でこれを完済する必要があります。ドバイの銀行の多くは、ローンの繰り上げ返済に対して、ローン残高の1%程度(上限AED 10,000)を手数料として課します。これは売却前にご自身の銀行に確認しておくべき重要な項目です。銀行から債務がないことを証明する書類(Liability Letter)を取得する際にも、数百AEDの手数料がかかる場合があります。
  • 所有権証書(Title Deed)の再発行費用
  • 万が一、お手持ちの所有権証書を紛失してしまった場合、DLDで再発行手続きが必要になります。これには約 AED 1,000 程度の費用と時間がかかりますので、売却活動を始める前に、必ず書類の有無を確認してください。

売主様への注意点:

1. サービスチャージは必ず完済しておくこと: NOCは、サービスチャージが完全に支払われていないと発行されません。売却を決めたら、まずご自身の支払い状況を確認し、もし未払いがあれば速やかに清算してください。これが遅れると、NOC取得が遅れ、取引全体のスケジュールに影響を及ぼします。

2. 契約書(Form F)の違約金条項を理解する: Form Fには、売主側、買主側双方の都合で契約を破棄した場合の違約金(通常は手付金の10%)に関する条項が含まれています。万が一、より良い条件の買主が現れたからといって、一度締結した契約を一方的に破棄することは、手付金の没収という大きなペナルティにつながります。契約書に署名する重みを理解し、慎重に判断することが求められます。

3. 資金の海外送金について: 売却代金をドバイ国外の銀行口座で受け取りたい場合、送金手数料や為替レートの変動を考慮に入れる必要があります。また、国によっては高額な資金の受け入れに関する規制や税務上の申告義務がある場合があります。事前に受け取り国の金融機関や税務専門家に相談しておくことをお勧めします。私たちGaia Livingでは、こうした国際送金に関するアドバイスも提供しています。

これらの費用と注意点を事前に理解しておくことで、売却プロセスをよりスムーズに、そして予測通りに進めることが可能になります。私たちの役割は、単に買主を見つけるだけでなく、こうした売却に伴うあらゆる側面で売主様をサポートし、手取り額を最大化するための戦略を共に練ることです。

よくあるトラブルとその回避策

RERA エスクロー制度は非常に堅牢ですが、それでも取引プロセスにおいては、予期せぬ問題が発生する可能性があります。売主様の戦略家として、私がこれまで目の当たりにしてきた典型的なトラブルと、それを未然に防ぐための具体的な回避策を共有します。これらの知識は、皆様の売却をスムーズに完了させるための「保険」となります。

トラブル1:買主のローン承認の遅延または否決 これは最も頻繁に発生する問題の一つです。買主が「ローン事前承認(Pre-approval)」を得ていたとしても、それは最終的な承認を意味しません。銀行は、売買契約が結ばれた後に物件の評価(Valuation)を行い、その結果や買主の最終的な財務状況を審査して、初めて融資を正式に決定します。この評価額が売買価格を大幅に下回ったり、買主の信用情報に変化があったりすると、ローンが減額されたり、最悪の場合は否決されたりします。

  • 回避策:
  • Form Fに「資金調達条項(Finance Clause)」を盛り込む: 契約書に「買主は契約後、特定の日数以内(例:10~15営業日)に銀行からの正式なローン承認書を提示する義務がある。提示できない場合、売主はペナルティなしで契約を解除できる」といった条項を追加します。これにより、無期限に待たされるリスクを回避できます。
  • 現金購入者を優先する(ただし慎重に): もちろん、現金購入者はこのリスクがないため魅力的です。しかし、ローン利用の買主からのオファーの方が高額である場合もあります。相手の仲介業者を通じて、買主の職業や勤務先、自己資金の割合などを確認し、ローンの確実性を総合的に判断することが重要です。

トラブル2:NOC取得の遅延 デベロッパー側の手続きの混雑、サービスチャージの支払いに関する認識の齟齬、または物件に何らかの未承認の改築がある場合などに、NOCの発行が遅れることがあります。DLDでの所有権移転にはNOCが必須のため、この遅れは取引全体の遅延に直結します。

  • 回避策:
  • 早期のアクション: MOUを締結したら、すぐにNOC申請の準備を始めます。必要書類を事前に確認し、サービスチャージの支払い証明などを手元に揃えておきます。
  • 現状のまま(As is)での売却を明記: もし室内にデベロッパーの許可を得ていない改築(例えば、間取りの変更やバルコニーの囲い込みなど)がある場合、それがNOC発行の障害になる可能性があります。売却活動の初期段階でその事実を仲介業者に伝え、買主にも開示した上で、「現状有姿(As is condition)」での売買であることを契約書に明記し、将来の責任問題を回避します。

トラブル3:所有権移転日間際の予期せぬ要求 所有権移転の直前になって、買主から「家具を付けてほしい」「修繕費用を負担してほしい」といった追加の要求が出てくることがあります。売主としては、取引を壊したくない一心で、不本意な要求を飲まざるを得ない状況に追い込まれがちです。

  • 回避策:
  • すべての合意事項をForm Fに記載する: 口約束はトラブルの元です。家具や家電を含めるのか、特定の修繕を行うのかなど、すべての合意事項は些細なことでも必ずForm Fの追記欄に明記し、双方が署名します。一度契約書が完成したら、「この契約書がすべての合意事項であり、これ以外の口頭での約束は無効である」ということを明確にします。
  • 毅然とした態度と専門家への相談: 不当な要求に対しては、安易に譲歩せず、まずは担当の仲介業者に相談してください。私たちプロは、契約内容に基づき、売主様の利益を守るための交渉を行います。取引の最終段階では、感情的にならず、契約書という事実に基づいて冷静に対処することが肝心です。

これらのトラブルは、いずれも適切な準備と専門家のサポートによって十分に回避可能です。私たちGaia Livingの売主戦略家は、契約前の段階からこれらのリスクを予測し、お客様の契約書に万全の保護条項を盛り込むことで、安心して取引のゴールまでたどり着けるようエスコートします。

Gaia Livingが提供する売主様へのサポート

ここまで、ドバイ不動産売却 エスクロー制度の仕組みと、売却プロセスにおける注意点について詳しく解説してきました。この堅牢な制度があったとしても、売却を成功に導き、売主様の利益を最大化するためには、専門的知識と戦略、そして交渉力を持ったパートナーの存在が不可欠です。私たちGaia Livingは、単なる仲介業者ではなく、売主様一人ひとりの「売却戦略家」として、プロセス全体を通じて包括的なサポートを提供します。

私たちのサービスは、物件の査定から始まります。最新の市場データとBusiness BayDowntown Dubaiといった人気エリアでの豊富な取引実績を基に、単なる相場価格ではなく、最高の価格を引き出すための戦略的な「売り出し価格」をご提案します。高すぎれば買い手がつかず、安すぎれば機会損失となります。適切な価格設定こそ、成功する売却の第一歩です。

次に、物件の魅力を最大限に引き出すためのマーケティング戦略を実行します。プロのカメラマンによる高品質な写真やバーチャルツアーの撮影、物件の価値を的確に伝えるライティング、そして国内外の幅広い顧客ネットワークへの物件紹介など、あらゆるチャネルを駆使して、最適な買主候補にアプローチします。特に、ホームステージングに関するアドバイスは私の得意分野です。少しの工夫で物件の印象は劇的に変わり、より早く、より高く売却できる可能性が高まります。

Key takeaway

ドバイのエスクロー制度は、売主の資金を保護する強力な盾ですが、その盾を最大限に活用し、有利な条件で取引を完了させるには、経験豊富な「戦略家」の存在が不可欠です。私たちは、査定から契約、資金の受け取りまで、売主様の利益を第一に考え、あらゆる局面で最適な判断をサポートします。

そして、オファーが入ってからが、私たちの真価が問われる場面です。価格交渉はもちろんのこと、買主の資金背景の確認、契約書(Form F)における売主様保護条項の追加、そしてNOC取得やDLDでの手続きといった煩雑な事務作業の代行まで、すべてを主導します。特に、本稿で解説したエスクロー手続きに関しては、信頼できる登記信託人の選定から、資金の流れのモニタリング、最終的な着金の確認まで、売主様が一切の不安を感じることなく過ごせるよう、私たちが責任を持って管理します。売却代金が無事に売主様の口座に着金する、その瞬間までが私たちの仕事です。

ドバイでの不動産売却は、正しい知識と戦略があれば、非常に安全かつ有利に進めることができるプロセスです。もし、ご自身の資産の売却をお考えでしたら、ぜひ一度、私たちGaia Livingにご相談ください。私が皆様の専属戦略家として、大切な資産の価値を最大化し、最高の形で次のステップへとつなげるお手伝いをさせていただきます。

## Sources - Dubai Land Department (DLD): dubailand.gov.ae - Real Estate Regulatory Agency (RERA): Part of DLD's portal - UAE Government Portal (Property): u.ae/en/information-and-services/business/dubai-business/property

Frequently asked

Questions, answered

ドバイの不動産売却でエスクロー口座は必須ですか?
はい、中古物件の売買取引において、RERA(不動産規制庁)は第三者である不動産登記信託人(Conveyancer/Trustee)が管理するエスクロー口座の使用を強く推奨し、事実上の標準となっています。これにより、買主からの支払金が安全に保管され、所有権移転が完了するまで保全されます。
エスクロー口座の費用は誰が負担しますか?
通常、不動産登記信託人(Conveyancer)を任命するための費用は買主が負担します。費用は取引額や信託人によって異なりますが、一般的にAED 6,000からAED 15,000程度です。ただし、契約(Form F)の交渉段階で売主と買主が分担することに合意する場合もあります。
売却代金はいつ自分の口座に振り込まれますか?
ドバイ土地局(DLD)の登記所にて所有権移転手続きが完了し、新しいタイトルディード(所有権証書)が発行された直後です。不動産登記信託人は、所有権移転の完了を確認次第、エスクロー口座に保管されている資金から諸費用(仲介手数料、未払いサービスチャージ等)を差し引いた上で、売主様が指定した銀行口座へ送金します。
買主が住宅ローンを利用する場合、エスクローのプロセスは変わりますか?
基本的な流れは同じですが、買主の銀行がプロセスに加わります。銀行は物件の評価を行い、最終承認後にローン実行額をエスクロー口座に送金します。売主様としては、買主のローン承認が下りるまで時間がかかることを想定し、売買契約(MOU/Form F)に資金調達に関する期限を明確に設定することが重要です。
エスクローを使わない個人間の直接取引は可能ですか?
法的に不可能ではありませんが、極めて高いリスクを伴うため、専門家としては絶対に推奨しません。エスクロー制度は、売主様が代金を受け取れないリスク、買主様が物件の所有権を得られないリスクを双方から排除するために設計されています。信頼できる取引のためには、必ずRERAのガイドラインに沿ったプロセスを踏むべきです。
オフプラン物件(未完成物件)の売却でもエスクローは使われますか?
はい、オフプラン物件の転売(セカンダリーマーケットでの売却)でもエスクローは同様に機能します。この場合、元の購入契約(SPA)の名義変更手続き(Oqoodの移転)が完了するまで、代金はエスクロー口座で保全されます。デベロッパーからのNOC(異議なし証明書)取得が重要なステップとなります。
田中 莉子 — portrait
著者
売主の戦略家

佐藤麗奈は、売却を検討しているオーナー様のために執筆しています。ホームステージング、掲載時期、エージェント選び、そして低額提示への対応方法まで、彼女は常に売主様の味方です。

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